酷暑の季節です。先月から引き続き、バラにとっては消耗のはげしい月です。十分な水やりや、葉に水をかけるシリンジ、摘蕾は欠かせません。それに台風対策や、秋の花のための夏の施肥など、今月も忙しい月です。下旬には秋の花のための剪定も始まります。

バラは水が不足すると、葉からの蒸発を防ぐためにみずから葉を落としてしまいます。それがはげしい乾燥から生き残るための手段だからです。
冬季の落葉と異なって、生育期であるいまの落葉は株を弱らせます。
庭植えのバラにも、毎日バケツ1杯以上の水を与えましょう。
鉢植えには、最低でも1日1回、乾きがはげしいときは1日2回の水やりが必要です。水やりはできるだけ早朝に行います。

高温乾燥時に大発生するハダニや黒点病によっても、葉はその機能を失い落葉します。薬剤散布を必ず行いましょう。
黒点病予防のダコニール、ハダニ専用の殺ダニ剤、オサダン水和剤やケルセン乳剤、ニッソランVなどを10〜15日に1回、定期的に散布します。薬剤散布は気温の高い日中を避け、早朝か夕方に行います。
この暑い時期、いかに葉を落とさずに株を管理できるか、それがこの月の最大のポイントです 。

消耗した体力の回復と秋のバラを美しく咲かせるために、元肥を与えます。冬の元肥同様、バラを栽培するうえで欠かせないものです。
株元から30cmくらい離れたところに15cmほどの深さの溝を掘り、有機質肥料を主体とした遅効性の肥料を入れて土とよく混ぜ、その上に土を戻して水をたっぷり与えます。
施肥量はバラの品種や株の大きさ、土質によっても異なりますが、成木で骨粉300g、油かす200g、硫酸カリ20gが目安です。
なお、一季咲きのオールドローズやつるバラには、夏の元肥は入れなくてもかまいません


骨粉300g、油かす200g、硫酸カリ20gを用意する。冬の元肥の半量 が目安。

株の周りに浅い溝を掘り、混ぜ合わせた肥料を均一にまく。

土とよく混ぜ、肥料を軽く埋めたら、水をたっぷり与える。

夏の剪定をする予定の成木でも、8月中旬くらいまでに予備剪定をするとよいでしょう。大きく茂って見苦しいような株は枝先を軽く切り詰めておきます。

10〜11月に開花する秋バラを美しく咲かせるために、夏の剪定は大切な作業です。ただし、生育期に多くの葉を失うと木が弱ってしまうので、冬の剪定よりはずっと浅く切ることが原則です。
不要な枝を整理して、株の形をととのえる程度の整枝と考えてよいでしょう。  
剪定は、東京近辺では、9月1日を中心に前後1週間くらいの間に行います。
まず、枯れ枝、病害虫におかされた枝、ふところ枝、細すぎて良花の得られる見込みのない枝を切り除きます。
その後、株全体の高さの3分の2を残すくらいの気持ちで、木の形をととのえながら作業を進めます。
2年目の古い枝は、春に二番花を咲かせた枝か、三番花の枝の中ほどで切るようにします。春から伸びているシュートは、5段になっていれば3段目の中ほど、3段になっていれば2段目の中ほどで切ります。
夏の間、下葉を落としてしまった株の場合は浅めに切って葉を残すように心がけます。
どんな枝にも必ずハサミを入れましょう。
いずれの場合も、五枚葉のついているところのできるだけ充実したよい芽を選び、芽の上6〜7mmのところで切ります。
その芽を元気に伸ばしてりっぱな秋バラを咲かせましょう。
フロリバンダはハイブリッドティーよりもさらに浅い剪定とし、枝の先を軽く切り込んでおきます。

オールドローズには多くの系統や品種があり、性質もさまざまなので、どれにもあてはまる剪定の仕方はありません。
特に、一季咲きの品種と返り咲きする品種では剪定の仕方が異なるので、この二つに分けて解説します。


夏を過ぎて、人間の背丈よりも高く伸びた株。3分の2の高さを残すように剪定する。

冬の剪定と同様に、枯れ枝や細枝を除いてから枝を詰める。ハサミは五枚葉の上に入れること。

夏の剪定を終えた株。枝の先端から再度、秋の花の芽が伸びてくる。

イングリッシュローズの中にも、この時期にフロリバンダ系と同様の剪定をすれば、秋の花が咲きそろうものがあります。しかし、品種によっては、枝先を切っても、枝だけが伸びて花のつかないものもあります。
夏の剪定は、返り咲き性のあるオールドローズと同様、夏の間こまめに花を摘みとったり、茂りすぎた枝を整理しながら次の花を待ち、秋花につなげていくのがよいでしょう。
イングリッシュローズはモダンローズとオールドローズの交配によって誕生した品種群で、モダンシュラブに分類されるものです。
生育の点でもオールドローズとモダンローズの性質をあわせもっており、オールドローズの性質を多く引き継いでいるものもあれば、モダンローズの特徴が強く出るものもあります。
品種の特徴をよく理解して剪定することが大切です。

●一季咲きの品種
(ガリカ系、アルバ系、ケンティフォリア系、ダマスク系など)
●返り咲きする品種
来年の春まで花を咲かせることはありません。
そのため夏の剪定は不要です。
ただし、開花後に花のすぐ下からぐんぐん伸びてくる枝がある場合には、花が咲いた高さくらいで切りとっておきます。
この枝に花を咲かせることはありませんし、上に生長しようとするエネルギーを止めることで、枝の下のほうから発生してくる芽が多くなり、元気に育つようになるからです。
この結果、来年の花枝が多くなるわけです。放置しておくと、株いっぱいに葉が茂って風通 しが悪くなり、病害虫の被害も出やすくなります。
返り咲きの方法はさまざまです。
春の一番花のあとに花芽が伸びてモダンローズのように二番花が咲く品種、夏の間ずっとぽつぽつと咲く品種、秋に一度だけ返り咲きする品種などがあります。
こうした品種を夏にいっせいに剪定しても、モダンローズのような秋花を見ることはできません。そこで、花後にできるだけ早く花がらを切りとることで次の花の準備をし、これを繰り返すことで秋の花につなげていきます。
ただし、ブルボン系のスヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾンやスヴニール・ド・サンタンヌなどは、モダンローズと同じような咲き方をするので、フロリバンダと同様の剪定をします。チャイナ系の多くの品種やポリアンサ系も、夏に軽い整枝を行うのがよいでしょう。

四季咲き性、返り咲き性のあるオールドローズは軽い剪定をして株をととのえる。

伸びすぎた枝の先を切り込む程度に剪定する。モダンローズほどではないが、秋の花もそろい、株全体の姿も美しくなる。

夏に多いバラの病気と害虫
黒点病

葉に黒褐色の斑点ができて黄変し、やがて落葉します。古くなった葉に多発して、放置すると株全体に広がり、花はもちろん、木の生育にもダメージを与えます。梅雨時や秋雨時、とくに台風の後などに大発生しますから注意が必要です。健康な株にまで次々に伝染しますから、兆候が見られたらただちに、サプロール1000倍液などを散布します。予防としてはダコニール1000倍液の定期散布をします。ダコニールは薬害もなく、耐性もつきにくい薬なのでおすすめですが、人によってはかぶれることもありますから注意しましょう。すでに発生してしまった場合はサプロールを併用します。

アブラムシ
ほぼ一年中発生し、新芽やつぼみ、茎に群がって樹液を吸います。排泄物で葉などがよごれ、病気の発生の原因にもなります。新芽や若いつぼみにびっしりとつくことも多いので、よく観察し、見つけ次第、殺虫剤を散布して駆除しましょう。マラソンやオルトランなど、ほとんどの殺虫剤が効果 があります。木酢液も効果があります。
チュウレンジハバチ  
成虫は茎を割って産卵します。卵が孵化すると、5mmほどの幼虫が葉に群がって食害し、葉を葉脈だけにしてしまいます。幼虫は2cmくらいまでに成長します。殺虫剤の定期散布で予防します。幼虫は見つけしだい捕殺するか、殺虫剤で駆除します。産卵中の成虫は動きが鈍いので、見つけたら捕殺します。
オトシブミ
葉をくるくると巻いて中に産卵し、孵化した幼虫は中にひそんで葉を食害します。
見つけたら葉を切ってつぶします。
コガネムシ
バラにつくのは体長5mmから1cmくらいの小さなコガネムシで、つぼみや花弁を食害して花に穴を開けてしまいます。薬剤による完全な駆除は困難で、殺虫剤をかけると一時はいなくなりますが、またどこからか飛来します。
こまめに見回って捕殺するようにしましょう。
ゴマダラカミキリ
成虫が6〜7月に飛来して根元に産卵します。孵化した幼虫はテッポウムシとも呼ばれ、茎の中を食害し、やがて木を枯らしてしまいます。
根元近くの穴からこまかいおが屑状の糞を出しますから、見つけたらマラソン乳剤などの殺虫剤の原液をスポイトなどで注入し、癒合剤などで穴をふさいでおきます。
ハダニ

ごく小さなダニで、葉の裏に多く寄生しますが、肉眼では見えません。
7〜8月の高温乾燥期に多く発生します。葉が内側にそり、水分がなくなってかさかさした感じになり、葉裏にクモの巣が張ったような膜ができて、やがて黄変して落葉します。
水不足のような症状で、水やりしても改善されないような場合は、ハダニの被害と考えられます。 普通の殺虫剤では効果がないので、オサダン水和剤やケルセン乳剤、ニッソランVなどの専用の殺ダニ剤を散布して防除します。
ニッソランVは普通の害虫にも効果があるので便利です。薬剤に対する耐性ができやすいので、2〜3種類の薬を交互に使うとよいでしょう。  
乾燥すると発生しやすくなるので、霧吹きなどで葉裏にこまめに水をかけてやると発生を抑えることができます。