栽培したい品種をどこに植え、庭をどのようにデザインするか、どの株をどこへ移しかえたらいいか。頭の中はすでに春からの計画でいっぱい。来年もバラがすこやかであるよう、冬の作業に精を出しましょう。
バラは寒さにはかなり強い植物ですが、乾燥には弱いので注意が必要です。鉢植えのものは、10日に1回くらい、十分に水を与えます。地植えのものは、この時期は水やりの必要はありません。
休眠中の12〜1月が元肥を与える適期です。肥料には、遅効性の有機質肥料と速効性の化成肥料とがありますが、元肥としては、徐々に効果 をあらわしてくる有機質肥料が適しています。有機質肥料は、土の中の微生物の働きによって分解されたのち根に吸収されるため、効果 が出るまでに温度や時間を必要としますが、効力がゆっくりと長い時間持続するのが特徴です。バラの生育に適した「バラの肥料」も市販されており、これを利用する方法もありますが、できれば土の改良にも役立つ有機質肥料を使いたいものです。
施肥量はバラの品種や株の大きさ、また土質によっても異なりますが、冬の元肥は1年のうちでも最も多く、成木で骨粉400g、油かす300g、硫酸カリ30gが目安です。それに必ず堆肥(乾燥牛ふん、腐葉土、バークなど)バケツ1杯をいっしょに混ぜ入れます。元気のよい株には多めに、弱っているような株には少なめに与えます。弱っている株は肥料を吸収する力も衰えていますので、吸収しきれずに根腐れの原因にもなるからです。
元肥は、株元から30cmほど離れたところに深さ30cmくらいの溝を掘り、掘り上げた土と混合して埋め戻します。施肥後は十分に水やりをします。
植えつけたあとの大苗にも、すでに植えてある成木にも薬剤散布は必要です。冬の休眠期には強い薬剤を散布しても株を傷めませんから、12〜2月の3カ月間は月に一度の高濃度散布をして、越冬しようとしている病菌や害虫の卵などを根絶しておきます。これは、春に活動を始める病害虫の防除にたいへん役立ちます。
冬の高濃度散布には、石灰硫黄合剤の8〜10倍液を散布します。株の数が少ない場合は筆などで塗る方法もあります。
石灰硫黄合剤はアルカリ性が強いので、散布後は噴霧器を食酢を入れた水の中で洗って中和しておきます。
乾燥を防ぎ、凍結から根を守るためには、冬季のマルチングが欠かせません。特に植えつけたばかりの株は、乾燥すると枯れることがありますから、稲わらやバーク堆肥、ピートモスなどを株元に敷き詰めてやりましょう。
本格的な剪定は2月に行いますが、細枝や枯れ枝などをこの時期に切って整理しておくと庭もきれいになってお正月を迎えられますし、本剪定も楽になり、石灰硫黄合剤の高濃度散布や元肥入れの作業もしやすくなります。
バラは基本的には植えかえの必要はありませんが、庭のデザインの変更や管理の都合などで株を移動したい場合には、この時期なら植えかえも可能です。
株の掘り上げは、新しい植え床の用意ができてから始めます。まず、掘り上げる株の枝を、作業のしやすい長さに切り詰めます。その後、はじめに株の周囲を大きく掘って土を上げ、次に株の近くにスコップを入れて、なるべく根を切らないように注意しながら掘り上げます。
掘り上げた株はすっかり土を落として、根頭がんしゅ病などに侵されていないか、よく確かめます。掘るときに傷ついた根は切り戻してから植えつけます。
肥料の入れ方や植えつけの手順、水やりなどは大苗を植えるときと同様です。
大苗は専門家が畑で2年間しっかり育てたもので、二年苗ともいいます。4月に出回る新苗よりも、台木とのつぎ目もよく活着していて扱いやすく、初心者にはおすすめです。
大苗の植えつけは11月下旬から2月までが適期ですが、できるだけ年内にすませたほうが結果 はよいようです。冬の庭仕事は多く、日ごとに寒さが厳しくなるので、作業は早めにすませておきます。注文した苗がまだ届かなくても、植え床の用意をしておきましょう。
植えつけ場所の選定
バラは本来的にはたいへん丈夫な植物で、特にモダンローズはすぐれた適応力をもっており、世界中いたるところで栽培されています。
とはいえ、健康で美しいバラを育てるためには、よりよい環境が必要なのはいうまでもありません。何よりも日当たりと風通 しのよい環境をバラは好みます。午前中の日が少なくとも3〜4時間当たるところをさがしてやりましょう。
そうした場所がなければ、できるだけその場に適応できる品種をさがすことが大切です。また、鉢植えにして、日当たりのよいところへ移動しながら育てる方法もあります。
なお、以前にバラが植えてあった場所に植える場合は、その場所の土を新しい土と入れかえます。バラは、一度バラが植えられていたところでは育ちにくいからです。これをいや地といいます。
苗の選び方
大苗は、直径1cmくらいの太くかたく締まった枝が2〜3本あって、根が長く大きく張っているものを選びます。みずみずしく元気のよいのが良苗です。しなびたものや枝が黒ずんでいる苗は避けましょう。もちろん、つぎ口や根にコブのような根頭がんしゅ病がないものでなければなりません。
苗が届いたら
通信販売で送られてきた苗は、ビニール袋から出して、束ねられている根をほぐしてから、すぐバケツの水の中につけ込みます。根を乾かさないようにすることが大切です。ただし、あまり長い時間水につけておき、根を窒息させることのないように注意が必要です。まる1日ぐらいが限界です。
苗の枝は深く切り込まれていますが、もし枝先が黒ずんでいたり、よい芽のところで切られていなかった場合は、剪定のときと同様に、健康な芽の上まで切り戻します。細すぎる枝は芽が出ても花をつけないので、根元から切りとります。
大苗は、11月下旬ごろに根が休眠してから掘り上げたもののほうが安全ですが、バラ展やバラ園などで早めに入手した苗や、注文した苗が早めに送られてきた場合などは、ひとまず庭に仮植えしておきます。地面 に浅い穴を掘って株を斜めに埋め、根の部分に土をかぶせておきましょう。植え床が用意できるまでに日数がかかるようならば、3日に一度は水やりを忘れずに行ってください。
植えつけの手順
植えつけ場所が決まったら、直径、深さとも60cmくらいの穴を掘ります。その中に元肥(骨粉400g、油かす300g、硫酸カリ30g)と堆肥(乾燥牛ふん、腐葉土、バーク堆肥など)バケツ1杯を入れ、掘り上げた土を半分ほどを戻し入れてよく混ぜます。その上にスコップ3杯の土を山形になるように戻し、軽く押さえておきます。
苗の根はできるだけ四方に広げるように穴の中におさめます。このとき、苗のつぎ目が地表より3cmほど出るように調整し、残りの土を周囲から埋め戻していきます。
植えつけ後は、バケツ2杯の水を静かに流し入れ、土が沈むようならもう一度土を入れ、水を入れます。支柱を立てて苗を固定し、必ず品種名のラベルをつけておきます 。
1)苗が届いたら根をほぐし、水につけておく。植えつけまで根を乾かさないのがポイント。
2)日当たり、風通しのよい場所に、直径、深さとも60cmの植え穴を掘る。
3)骨粉400g、油かす300g、硫酸カリ30gの元肥と、バケツ1杯分の堆肥を入れ、掘り上げた土半分を戻してよく混ぜる。
4)スコップ3杯ほどの土を戻して山形になるように軽く押さえ、苗の根を広げて中心に置く。
5)苗のつぎ目が地表より3cmほど出るように調節しながら、残りの土を戻す。水をやり、支柱を立ててラベルをつける。
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