一年のうちでいちばん美しい花が咲く月です。春ほどの華やかさはありませんが、一輪ずつがおのおのの個性を十分表現して咲いていきます。その様子をしっかり見てあげましょう。弁質もなめらかで色もさえ、小ぶりながら形もきっちりときまっています。  気温が日ごとに下がるため、春にくらべてゆっくりと開花するのが秋花の特徴。咲き始めてから散るまでに10日くらいかかるものもあります。その美しい展開のドラマを十分楽しみたいものです。

秋バラの開花は、東京近辺では10日ごろから始まります。開花前に水を嫌う品種もありますが、多くの四季咲きバラには水やりが必要です。晴天が続き、空気が乾燥がちならば、庭植えのものも2日に一度、1株にバケツ1杯以上を与えます。鉢植えのものは、土の表面 が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで、たっぷり与えます。なお開花中は乾きぎみのほうが
美しい花が咲くので、乾かしぎみに管理します。

庭植えのものは、10月上旬に一度、花前の肥料を与えます。速効性の化成肥料(リン酸分の多いものがよい)を二握りほど、株の周囲にまいて中耕しておきます。鉢植えのものは、今月は置き肥をせずに、液肥を二度ほど与えます。いずれの場合も、つぼみが色づいてきたら追肥は中止します。

台風による被害が心配な季節です。台風が来るとわかったら庭植えのものは支柱を立てて結束します。株の周囲に支柱を3〜4本立てて株を支柱ごとひもなどで束ねます。台風が去ったらすぐに戻しておくことも忘れないでください。
台風の雨は塩分を含んでいますから、台風が去ったらすぐに水をかけて洗い流しておきましょう。葉や枝が傷んだり折れたりしたら、その下の五枚葉の上で切っておきます。傷口から病気が広がらないように、薬剤散布をすることも大切です。雨のあと急に強い日が照って、若いやわらかい葉が傷むことがありますが、コンテストに出品する以外、あまり心配はいりません。薄めの薬剤散布をしておけば、やがて健康な葉が育ってきます。



台風が近づいたら、風雨がひどくならないうちに、株の周りに支柱を3〜4本立て、ひもで結束しておく。


鉢植えはあらかじめ倒しておき、転倒の被害を防ぐ。ただし、このままにしておくと芽が曲がって伸びるので、台風後はすぐに戻すこと。

花が咲き始めたら予防散布は行いませんが、病気の発生が見られたら開花中でもすぐに薬剤散布をして、蔓延を防ぎます。うどんこ病にはミラネシンの1500倍液、黒点病にはサプロ―ルの1500倍液を散布します。害虫は見つけしだい手やピンセットなどで捕殺しますが、多く発生した場合は、オルトラン水和剤の1500倍液、マラソン乳剤の1500倍液などを散布します。なるべく花にかからないように、開花中なら花に袋をかぶせる方法もあります。


春ほど多くありませんが、元気のよい枝には複数のつぼみがつくことがあります。ハイブリッドティー系で大輪の花を咲かせたい場合は、いちばん大きなつぼみを残して、あとの側蕾はとり除いておきます。
1)先端の大きなつぼみの両側についている小さな2つのつぼみが側蕾。このままにしておくと、養分が分散し、花が小さくなるので手で摘みとる。
2)側蕾をとり去ったつぼみ。ハイブリッドティーらしい大きくりっぱな花が咲く。


花が咲き終わったら、花がらは切りとりましょう。残しておくと見苦しく、病気の発生源にもなりかねません。ただ、中には、散りかかるときの美しさが心に残る品種もあります。


東京近辺では、10月中旬ごろから各地でバラ展が開かれます。また、バラ園なども見ごろになります。できるだけ出向いて多くのバラを見るように心がけましょう。気に入った品種を見つけるのによい機会です。バラ園などでは、花だけでなく、木の形や生育の仕方もしっかり見ておくことが大切です。
栽培しようとする品種を選ぶときは、栽培経験者や先輩の意見を聞くことも大切です。バラ苗業者や通 信販売会社からも新しいカタログが出されますから、とり寄せて参考にしましょう。

バラ栽培は、秋の花が終わるとすぐ翌年のための作業を始めなければなりません。来年の計画はなるべく早く立てておきましょう。ほしい品種がある場合には、専門のナーセリーに早めに注文しておくとよいでしょう。  特に、外国から直接苗を取り寄せたい場合は、なるべく早く注文を出しておきます。最近では、特にオールドローズなどは品切れが多く、入手までに2年もかかることがあります。また、外国の気象条件もあり、10月に注文した苗は翌年の3月ごろに送られてくるのが一般的です 。