5月の開花時期は、同時にまた、反省すべき点をチェックするときでもあります。剪定はあれでよかったか、薬剤の予防散布は、施肥は、水やりは……? どんなに長い栽培経験があっても、新しい小さい疑問は限りなく生まれます。もっとバラたちとも語り合わなければなりません。
 6月には、遅咲きのオールドローズを残して、ほとんどのバラが咲き終わります。たくさんのバラをみごとに咲かせてくれた株に、ありがとうの思いを込めて“お礼肥”を与えましょう。花が終わっても木は生長を続け、四季咲き品種は二番花のつぼみが育っています。冬に植えつけた大苗も、6月からは成木と同じに扱います。
 なお、新苗の植えつけもまだ間に合います。花つきの苗も売られていますから、花を見て品種を選ぶこともできます。

摘蕾
 ハイブリッドティー(四季咲き大輪性品種)の場合は、1輪の花をりっぱに咲かせるために、摘蕾をします。1本の花枝に複数のつぼみがついている場合は、側蕾をとり除いて、ひとつのつぼみに養分を集中させます。かきとる時期は、側蕾が小豆大になったころがよいでしょう。
 フロリバンダは、側蕾をとらずに咲かせます。ハイブリッドティーであっても庭バラとして楽しむときは側蕾を摘みとる必要はありません。その場合、最初の1輪が咲き終わったらすぐ花がらをとり除き、側蕾のほうへ養分が行くようにします。


バラのつぼみ。ハイブリッドティーの場合は、中央のつぼみのみを咲かせ、左右の 小さいつぼみ(側蕾)は摘みとる。 側蕾を摘みとったところ。

水やり
花どき 次々と花を咲かせている時期は、バラは多くの水を必要とします。花に見とれて水やりを忘れないように注意しましょう。地植えのものは、1株につき毎朝バケツ1杯以上が目安です。株の周囲に静かに与えるようにします。鉢植えのものも、毎朝、鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと水やりします。

梅雨どき 例年、6月中旬には梅雨に入り、雨の日が多くなります。表面の土は水分を含んでいても、土中まで十分しみ込んでいないこともありますから、水やりには常に気を配ることが必要です。雨量に注意して、土中が乾いているようなら水やりをしましょう。


肥料
花どき つぼみが色づき始めたら肥料はいっさい中止します。花の時期に肥料が多いと、花色がさえなかったり、花形が乱れる原因になります。花どきは肥料分をきり、すっきりと咲かせるのがコツです。

花後 たくさんの花を咲かせ終わった株には、体力の消耗を回復するために肥料が必要です。6月はバラの生長期でもありますから、速効性の化成肥料を1株に一〜二握りほど与えます。


苗の入手と植えつけ
新苗が出回るのは4月から6月上旬ですが、早めに購入して植えつけたほうが結果はよいようです。 ほしい品種を確実に入手するには専門のナーセリーを利用するのがよいでしょう。通 信販売をしているところもあるので、カタログをとり寄せ、早めに注文しておきます。 新苗は、前年の7〜9月に芽接ぎされたものか、12〜1月に切り接ぎされたものです。大苗にくらべ、生まれてからまだ日が浅く、とり扱いには十分な注意が必要です。 ビニールポットに入った新苗は、台木とのつぎ目がしっかりしていて、太くずんぐりしたものを選びましょう。苗がまだ小さい場合は、ビニールポットの中で根が十分張っていない証拠。少し待ってつぼみが見え始めたころ植えつけましょう。ポットの下穴から白い根が見えてきたら大丈夫。ポットをはずしたとき、土がくずれて細根を傷める心配がありません。 つぎ目に巻いてあるビニールテープは、しばらくそのままにしておきますが、2〜3カ月後には必ずとりはずします。 2株以上の苗を植えつける場合は、株が大きく育ったときのことを考えて、苗と苗との間は80cmくらいとっておきます。つるバラや大きくなるオールドローズを植えるときは、もっと広く株間をとる必要があるでしょう。

春のつぼみはすべて摘みとる
植えつけを終えた新苗は、小さなつぼみをつけていることもありますが、芽の先を五枚葉の上のところまで切り詰めておきます。生長に伴って次々とつぼみをつけますが、すべて摘みとって春には花を咲かせず、木を育てることに専念し、秋の開花を待つほうが得策です。もし、どうしてもすぐに花を見たいときは、開花する前、早めに切って、木の負担をなるべく軽くしてやるように心がけます。
水やり
晴天続きならば3日に一度、1株につきバケツ1杯の水を与えます。
肥料
芽が動き始めたら、週に一度、ハイポネックスの2000倍液などの液肥を1株に2〜3リットル与えます。


植えつけの手順
1)植え床を用意する。直径、深さともに40cmくらいの穴を掘る。
2)穴に堆肥(乾燥牛ふん、腐葉土、バークなど)を小さめのバケツ1杯と骨粉300g、油かす200g、硫酸カリ20gを入れる。
3)掘り上げた土の半量を穴に戻して、肥料とよく混ぜる。
4)掘り上げた土をスコップ3杯くらい穴に入れ、中心がやや高くなるよう、軽く押さえる。
5)苗をポットから、根をくずさないようにていねいに抜きとり、穴の中心に置く。苗のつぎ目が地表と同じ高さになるように調節すること。
6)掘り上げてあった残りの土を戻し、手で軽く押さえ、水をバケツ1杯以上たっぷりと与える。水が引いたとき土が沈み込んでいれば、もう一度土をかけてやる。
 
7)苗が風で揺れるとつぎ目がはがれてしまうことがあるので、最後に必ず支柱を立てる。品種名のラベルをつけて作業は終了。つぼみは摘みとっておく。

 美しい花を咲かせるためには、定期的な薬剤散布が欠かせませんが、日ごろのこまめな手入れで散布回数を減らす努力をすることも大切です。日照や通風をよくし、バラの周辺をいつも清潔に保ちましょう。また、株元にわらやバーク堆肥を敷き詰めると、雨のはね返りを防ぎ、黒点病にかかりにくくなります。木酢液の併用により、バラの抵抗力を高めることも有効です。

開花中 花が汚れるのを防ぐため、原則として開花中は薬剤散布は行いません。しかし、被害を見つけたら、健康な株に被害が及ばないように、ただちに適切な薬剤を散布しましょう。花やつぼみに袋をかぶせて散布する方法もあります。

花後 花が終わったらすぐに、1カ月に2回の定期散布を始めましょう。定期散布は秋の開花中だけ中止して、秋の終わりまで続けます。散布時には、帽子や衣服で体をおおい、散布後は必ずうがいや洗顔をすることを忘れずに。


散布時にはできるだけ肌を露出しない。マスクも忘れずに。

定期的な薬剤散布に使用する散布液の作り方
病気予防  ダコニール 1ml
(3月と9月は1.5リットル)
害虫駆除
オルトラン水和剤
または
マラソン乳剤
1g
 
1ml
ハダニ駆除
オサダン水和剤
または
ダニトロン
または
ニッソランV
1ml
 
1ml
 
1ml



黒点病 うどんこ病
葉に黒褐色の斑点ができて黄変し、やがて落葉し、木の生育にダメージを与える。雨のあとに発生するので、梅雨どきは要注意。予防にはダコニール1000倍液を、発生したらサプロール1000倍液を使用。
新芽や若葉、つぼみなどが白い粉をまぶしたようになり、葉は縮れ、花も奇形に咲く。予防にはダコニール1000倍液(多発時期にはバイレトン25の2000〜3000倍液、トリフミン3000〜5000倍液などの交互散布が有効)、発生したらミラネシン1000倍液を。
根頭癌腫病 アブラムシ
根にこぶ状の隆起物が出き、放置すると大きくなって株の生育が止まる。軽症ならナイフで削りとり、石灰硫黄合剤を塗布するが、引き抜いて捨てるほうが安全。跡地には必ず土を入れかえる。
ほぼ一年中発生し、新芽やつぼみに群がって樹液を吸う。病気発生の原因にもなる。見つけしだいオルトラン水和剤、マラソン乳剤で駆除する。木酢液も有効。
チュウレンジハバチ
成虫は茎を割って産卵する。孵化すると5oほどの幼虫が群がって葉を食害し、葉脈だけにする。殺虫剤を定期散布し、産卵中の成虫は見つけしだい捕殺する。

《花後の管理》
花がらとり、切り花 花が咲き終わったら、なるべく早く咲きがらを切りとります。放置しておくと見苦しく、また結実すると木を弱らせてしまいます。また最上芽が伸びて樹高が高くなり、貧弱な二番花が咲くおそれもあります。
 花がらは五枚葉を1枚つけて、2番目の五枚葉のつけ根にある芽のすぐ上で切りとります。この芽が伸びて二番花の枝になるわけです。切り花にするときも同じように切りますが、より花枝を長く切りたいときは、残された枝に葉が十分についているか確かめてから切りましょう。木を健康に保つために葉はとても大切なのです。  
花を切るときは五枚葉を1枚つけて、2番目の五枚葉の芽の上にハサミを入れる。長く切りたいときも必ず五枚葉の芽の上で切ること。
シュートの摘芯  5月になると株元から新しい枝が伸びてきます。来年の主幹枝となる大切な枝で、シュートと呼びますが、そのまま放置すると先のほうに小枝をたくさん出して小さな花を咲かせ、生長が止まってしまいます。摘芯して花を咲かせないようにし、充実した枝を育てましょう。  摘芯はシュートが15〜20cmに伸びたときに行います。枝先を3〜4cm、指で摘みとります。摘芯したところから再び芽が出て伸びてきますが、この芽が15〜20cmになったら同様に摘芯します。2芽以上が伸び出した場合は1芽だけを残します。この作業を4〜5回続ければ、夏の剪定までには充実した枝ができます。  なお、以上のようなシュートの摘芯が必要なものはハイブリッドティーのバラだけです。フロリバンダは一度だけ摘芯し、あとは花を咲かせます。オールドローズやイングリッシュローズなどは摘芯は不要です。
地表から勢いよく伸び出している新しい枝(シュート)。このままではりっぱに育たないので摘芯する。 先端から3〜4cmのところをつまんで折りとる。