あちこちで春まき一年草のタネが売られていますが、春まき一年草のほとんどは熱帯植物で、発芽・生育にかなりの温度を必要としますから、あわてて早くまくと発芽がきわめて悪くなります。安全、確実に発芽させるには、その土地のヤエザクラが咲き終わってからまくのがよく、ソメイヨシノを基準にしては早すぎます。特に高温を要するアサガオ、マツバボタン、ケイトウ、インパチエンス、サルビアなどは、5月に入ってからゆっくりとまくことです。
マリーゴールド、ヒャクニチソウ、コスモスなど、メキシコ高地原産の種類は、やや早くまいても発芽します。アスターは温帯性のため、ソメイヨシノが咲きだすころにまくとよく、あまり遅くならないように注意します。

マリーゴールドのタネまきと育苗
1)小型の平鉢に鉢底網を敷き、中粒の赤玉 土などを1/3ほど入れ、タネまき用の土(肥料分のない清潔なもの。小粒の赤玉 土とバーミキュライトの混合土など)を入れる。
2)タネとタネが重ならないように注意して、タネをまく。
3)こまかい目のふるいを通した土を、タネが隠れるくらいまでかける(覆土する)。
4)厚紙などで軽く押さえて、タネと用土を落ち着かせる。
5)鉢底から水を吸わせる。発芽するまでこのまま腰水して、乾燥させないようにする。
6)発芽するまでは新聞紙をかけて表面 の乾燥を防ぐ。発芽し始めたら水から出し、新聞紙もとり除く。
7)発芽したらよく日に当てて育てる。本葉が2〜3枚になったころがポット上げの適期。
8)箸などで苗を1本ずつ掘り上げる。できるだけ根を切らないように注意する。
9)ビニールポットに培養土を入れ、掘り上げた苗を1〜3本ずつ植えつける。
10)植えつけが終わったら十分水やりし、2〜3日は日陰で管理する。
11)日当たりのよい場所で薄い液肥を与えながら育てる。このくらいになったら鉢から抜き、1本ずつに植えかえる(このまま育ててもよい)。
12)苗が十分大きくなったら、鉢やコンテナ、花壇などに植えつける。


ダリア、カンナ、グラジオラス、ジンジャーなどの春植え球根類は、ほとんどが熱帯生まれの植物ですから、あまり早植えするのはよくありません。ただし、球根を土中に植え込むため、タネをまくよりは早めに植えられます。
サクラ(ソメイヨシノ)の花見が終わったら植え始めてかまいません。関西以西の暖地では7月まで植えられます。 グラジオラスのような一季咲きのものは、4月に一度に植えず、半月くらいずつずらして7月に入るまで植えると、6月末から10月くらいまで次々と咲いて長期間楽しめます。 アマリリスは、自然栽培では5月が花どきのため、4月上旬〜中旬には植え終わるようにします。 いずれにしても、球根類はひなたで育てるのがポイントです。

3月の声を聞くと、家庭菜園がスタートします。秋まき野菜はとう立ち前に収穫を終え、そのあとに春まき野菜のタネをまきます。 春まき野菜にはふたつのグループがあり、まきどきが異なります。インゲンやトマト、ナスなどの、いわゆる夏どり野菜の多くは熱帯原産のため、タネまきや苗の植えつけは4月下旬以降、ヤエザクラが咲き始めてから行います。
もうひとつのグループが、3月にタネをまいて5月に収穫する、早まき春どり型野菜です。これらは、元来は秋まき型野菜で、それを春にまいて作るわけです。もともと春にとう立ちして花を咲かせる性質のため、とう立ちの遅い品種を選ばないと、一人前に育たないうちにとう立ちして食べられなくなります。

家庭菜園で人気のあるイモ類といえばジャガイモです。ほかのイモ類より短期間で収穫でき、栽培も比較的容易です。植えどきはサクラ(ソメイヨシノ)の花見どきが好機です。それより早いと、往々にして遅霜の被害を受け、発芽した芽を傷めます。
寒冷地以外では、自家生産のイモの多くはウイルス病にかかっているので、タネイモとしては不向きです。寒冷地産(主に北海道産)のタネイモとして売られているものを用いましょう。食用のものは発芽抑制処理をしてあるものが多いようです。 タネイモは縦に2つ〜4つに切り、切り口に草木灰を塗り、切り口を下にして10cmくらいの深さに植えます。植えつけ間隔は30cmくらいとし、その間に堆肥と草木灰を混ぜたものをひとつかみずつ置いて土をかけます。

◇宿根草(3月下旬)
夏から秋にかけて咲く宿根草類は、3月下旬、お彼岸ごろからが株分け、植えかえの適期となります。宿根草類も、長年放置すると株が老化してきて弱ってくることが多いので、ふやす必要がなくても、3〜4年に一度は株分け、植えかえをして株の若返りを図りましょう。新芽があまり伸びてからでは遅いので、遅れないように行ってください。 同じ宿根草でも、春咲きの種類はこの時期に植えかえると、花芽が傷ついたり生育が悪くなってきれいに花が咲かなくなることがあるので、株分けや植えかえは秋に行うのが原則です。例外として、ニホンサクラソウの植えかえや株分け(芽分け)は2月が適期で、この時期をはずさないように行ってください。

◇常緑樹など(3月下旬〜4月上旬)
常緑樹の仲間は、3月下旬から4月上旬にかけてが植えかえの適期になります。秋から冬にかけて売られるサザンカやツバキ、柑橘類などの鉢植えも、庭植えにするのは3月下旬から4月上旬にかけてが適期です。 植えかえに際しては、切られる根とのバランスをとるため、枝もある程度切り詰めてやるのが安全です。植え終わったら十分水やりし、支柱を立てて縛ってぐらつかないように固定します。

鉢植えのツバキの植えつけ方
1)植えつけるツバキの鉢植え。
2)直径、深さとも鉢の2倍以上の植え穴を掘り、底に腐葉土と元肥(有機質肥料がよい)を入れて土と混ぜる。
3)掘り上げた土を少し戻し、植えつける株を置く。
4)株の根元が地表と同じ高さになるように、埋め戻す土の量 を調節する。
5)掘り上げた土を半分くらい埋め戻して十分水やりする。
6)掘り上げた土を最後まで埋め戻す。
7)株の周りをしっかり踏み固める。
8)もう一度、しっかり水やりしておく。
9)最後に支柱を立てて茎を縛り、ぐらつかないように固定する。

◇多肉植物(4月)
サボテン類のほかにも多くの種類がある多肉植物ですが、これらを春に植えかえたい場合は、サクラ(ソメイヨシノ)の花見後が適期です。 一般の砂漠性の種類は、鉢から抜いて古土を落とし、根を切り詰めて植えかえます。培養土は市販のサボテン用土を用いるのがよいでしょう。植えかえたら、1カ月くらいは水やりをしないようにします。 鉢花として楽しまれているシャコバサボテンも、この時期に植えかえます。伸びている茎節の先を2〜3節切り詰めて植えかえますが、培養土は普通 のサボテン用土は不向きで、一般の草花培養土に砂を2割くらい混ぜて水はけをよくしたものが適しています。シャコバサボテンは熱帯雨林の原産で、砂漠性ではないからです。

◇洋ラン(4〜5月) シンビジウム、デンドロビウムなどの洋ランはいずれも熱帯植物です。多くは冬から春に咲き、温室があれば花後にすぐ植えかえられますが、家庭でそれほど温度がとれないときは、4〜5月になってから行うほうが安全です。 根元が盛り上がり、水をやったときに水ぬけしにくくなったようなものは、植えかえしなければならない状態です。普通 は1年おきくらいに植えかえます。 鉢から抜き、根を傷めないように古土をていねいに落とし、新しい培養土で植えかえます。用土は、水ごけのほか、市販の洋ラン培養土でもかまいません。株分けも植えかえと同時に行いますが、あまりこまかく分けると3年くらいは花立ちしなくなります。


3月に入ると、草花も冬の眠りから目覚めて活動を開始し、木々の芽もふくらんできます。これから新芽が伸びだすときはスタートダッシュの時期ですから、このときを見はからって与える肥料が「芽出し肥」です。 庭木には、冬の間に寒肥を与えていなかった場合は、3月下旬から4月上旬にかけての間に速効性の化成肥料を与えます。宿根草なども、この時期に化成肥料を施してやると新芽が元気よく伸びてきます。冬越しをした秋まき草花にも、3月に入ったら忘れずに化成肥料を追肥します。

パンジー、デージー、キンセンカなど、春花壇やプランターの主役をなす秋まき一年草類の多くは、本来は6月の梅雨に入るまで次々と長期間咲き続けますが、手入れが悪いと早々と弱ってしまうことがあります。よい花を長く咲かせ続けるには、次のような手入れが必要です。 花がら摘み 咲き終わった花は、そのままにしておくと結実して、体力の消耗が激しくなり、のちの花つきを悪くしたりします。咲き終わったものから、こまめに花がらを摘みとりましょう。きれいになるばかりでなく、よい花が次々と咲いてくれます。 追肥 長期にわたって花を咲かせ続けることは、それだけ体力の消耗が大きく、追肥が欠かせません。開花期間中は月に2回くらい、化成肥料の追肥を忘れないようにします。
花がしおれかけたら早めに摘みとる。パンジーの花がらは、茎(花梗)を横に倒すように引っ張って茎ごと引き抜く。

クロッカス、スイセン、ヒヤシンスなど、春を飾る秋植え球根は、3月から4月にかけてが花どきとなります。これらの花を来年もまた咲かせるには、新しく育つ球根をできるだけ充実させて太らせることです。そのためには、次のような花後の手入れを忘れずに行ってください。 花後のお礼肥 花が終わったらすぐに、窒素、リン酸、カリが等量 に含まれた化成肥料を、1球あたりおちょこ1杯くらいの割合で施します。油かすのような窒素分の多いものは避けます。 葉を切らない 春咲き球根類は、花後も残っている葉で光合成をし、貯蔵養分である炭水化物を作って球根を太らせます。葉は絶対に切らないよう、大切にしましょう。 以上の2点が、球根を育てるポイントです。

そろそろアブラムシなどの害虫が発生し始める季節です。病害虫の防除は早期防除が原則で、油断しているとすぐにひどくなってしまい、そうなってからでは手おくれになってしまうことも多いものです。 この時期に発生しやすい害虫にアブラムシがありますが、発生し始めたら、ふえないうちに殺虫剤を散布して駆除に努めます。この時期には特に新芽に多くつくので、見逃さないようにします。鉢植えのものは、根から吸収させる浸透移行性殺虫剤(オルトラン粒剤、ベストガード粒剤など)を使うと効果 的です。
アブラムシの予防には、浸透移行性の殺虫剤を株元にまいておくとよい。