日に日に暖かくなっていくこの時期、生長期のバラは水も肥料もほしがります。また病害虫予防の薬剤散布や、芽かき、切り戻しもしなければなりません。4月になれば、園芸店などにバラの新苗が並び始めます。バラ作りにとって、楽しくもまた忙しい季節です。


バラの剪定は年に2回、夏と冬に行います。冬の剪定は、東京では2月中旬ごろが目安です。まだ行っていない方は、早めにすませるようしてください。新しいシュート(昨年出た新しい枝)や昨年の春に一番花を咲かせた枝を残し、古くなって老化した枝を切り捨て、株を若返らせましょう。込み合った枝なども整理し、風通 しや日当たりをよくして株全体の姿を整えてやりましょう。冬の剪定は思い切って深く行うのが原則です。

不要な枝は根元から切りとる

枯れ枝や病害虫におかされた枝、細い枝(鉛筆よりも細いもの)、たとえ太くてもフカフカして切りごたえのない枝、株の内側に向かって伸びている枝(ふところ枝)、前年の秋遅くに地ぎわから出たシュートなどは、残しておいてもよい花は咲かないので、根元から切りとります。

残った枝を切りつめる

前年に一番花を咲かせた枝は中ほどで切り詰めて、ことしの花枝を出させます。 剪定の深さは、品種によって違ってきます。ハイブリッドティーは、どちらかというと、花数は少なくても、大きくてりっぱな1輪の花を目ざすものですから、深めに切り詰めます。フロリバンダやポリアンサは、できるだけ多くの芽を残してたくさんの開花を楽しむために、株全体の1/2を残す程度の浅めの剪定をします。ハイブリッドティー系も、庭バラとして楽しむ場合は、浅めの剪定で花数を多くするのがよいでしょう。

充実した芽の上にはさみを入れる

枝を切るおおまかな位置が決まったら、そのあたりの充実している芽を選んで、その6〜7mm上のところを、芽の向きと平行にハサミを入れます。ハサミは必ずよく切れる剪定バサミを使いましょう。 充実しているよい芽とは、大きくて丸みを帯びた、しかもかたく締まった芽です。やせて先のとがっているものは、よい芽とはいえません。 芽はいろいろな方向を向いていますが、できるだけ株の外側に向かっているものを選びましょう。内側に向かっている芽は、枝が伸びてくると、ふところ枝になるからです。ふところ枝は風通 しを悪くして病害虫の発生源になりやすく、また、枝がぶつかって葉や花を傷つけてしまうおそれがあります。


1)古い枝葉根元から切る。
太いものはのこぎりを使う。
2)細い枝を切りとる。
3)傷んだ枝は充実した
芽の上で切る。
4)充実したよい芽。
5)太い枝も、全体の1/3〜1/2を残す感じで、よい芽の上で切る。
6)剪定のおわったバラ。
 
7)株の周りを少し掘り、
化成肥料を与えて埋め戻しておく。

不要になった枝をとり除き、新しいシュートを中心に、太い主幹枝を残して世代交代をはかりながら剪定します。長く伸びている枝を利用して、つるバラのように仕立てようとする場合は、つるバラと同様に誘引します。

一般に、1輪の花をりっぱに咲かせるというより、株全体の姿を形よくまとめ、多くの花を咲かせて楽しむものですから、剪定もその目的に合ったものでなければなりません。その意味で、冬の剪定は、フロリバンダ系のような剪定がよいでしょう。  
ただ、オールドローズには多くの系統があって、その性質もさまざまです。その品種の特徴をよく知り、おのおのの性質に合わせて行うことが特に重要になってくるわけです。

●一季咲き性のオールドローズ ●返り咲き性のあるオールドローズ
ガリカ系、センティフォーリア系、ダマスク系、アルバ系などの一季咲き性のオールドローズは、枯れ込んでいて花を咲かせそうにない枝だけを切り、細い枝や古い枝は元から切らず、先だけを切り詰めます。前年に一番花を咲かせた太い枝は古くても残しておき、同様に先だけを切り詰めます。ことしはこの枝の下のほうから太いシュートが出る場合が多いからです。  株元から新しく伸びている太いシュートは、昨年の春の花の位置で剪定し、残りの枝の高さをそこに合わせるようにすると、株の形が整えやすいでしょう。  オールドローズの場合は、モダンローズのように必ずしも充実した芽の上で切ることはありません。よい芽が見つからない場合でも、春になればどこからともなく芽吹き、花を咲かせることが多いものです。
ブルボン系、ハイブリッドパーペチュアル系などで、よく返り咲くオールドローズの場合は、モダンローズと同様に新しい主幹枝を残す剪定を行います。思い切って強く剪定することで、やや優美さに欠けますが、力強い花枝が多く出てきます。剪定が浅いと花の重みに耐えられないような弱々しい枝になってしまいます。ただし、品種によっては、強剪定をすると強い枝だけが伸びて花を咲かせないものもあるので注意しましょう。

冬の間寒さから根を守ってくれたマルチングも、3月に入ったらそろそろとり除き、根の周囲に太陽の光を当ててやりましょう。その後すぐに追肥を与えます。

冬の剪定ののち、芽が動き始めたらすぐに与える追肥を「芽出し肥」といいます。芽出し肥には速効性のものがよいでしょう。粒状の化成肥料を1株に一〜二握り(約50g)ほど株の周囲にまき、ごく軽く中耕します。その後は十分に水を与えます。 4月に入ったら、芽出し肥に引き続き、化成肥料を株の周囲にまいて軽く中耕します。 ただし、これも中旬までです。つぼみが色づき始めたら、花が咲き終わるまで、いっさいの肥料は中止です。バラは開花中に肥料過多になるとよい花を咲かせません。今月は遅効性の肥料は与えないようにします。 冬に植えた大苗には、中旬ごろから週に1〜2回、ハイポネックスの1000倍液などを1株に2〜3リットル与えます。

1)芽が動き始めたら、芽出し肥を与えて生長を促してやる。化成肥料を株の周囲にばらまき、中耕する。4月上旬にも同様に追肥する。
2)鉢植えバラは肥料の流出が激しいので特に芽出し肥は忘れずに。10号鉢なら化成肥料軽く一握りを。

芽が伸びだすこの時期は、バラは特に水をほしがります。3月中は週に1〜2回、4月に入ったら2日に1回を目安に、1株にバケツ1杯くらいずつ、たっぷりと水をやりましょう。水やりの回数は庭の日当たりや土質、気候条件などによっても違ってきますので、よく観察して、土の表面 が乾いたらやるようにします。

剪定したあとの枝先から、いくつもの芽が同時に伸びてくることがあります。よい芽に養分を集中させるため、貧弱な芽をかきとります。これはのちに枝や葉が込み合うのを防ぐことにもなります。

4月に入ると枝がぐんぐん伸びて広がってきます。出開きの芽やブラインド、貧弱な枝などを整理して、風通 しをよくし、日光がまんべんなく当たるようにしてやりましょう。

出開きの芽の処理
1)出開きの芽。枝から葉が展開するだけで、これ以上伸びない。株が込み合うだけなのでとり除く。
2)芽のつけ根を手でつかみ、つけ根から折りとるようにする。

ブラインドの処理
1)正常な枝。先につぼみがついている。
2)ブラインド。枝は伸びても先につぼみがつかない。
3)太くて元気なブラインドは、葉を2〜3枚つけて五枚葉のすぐ上で枝先を切り、次のよい芽が出るのを待つ。貧弱な枝なら根元から切りとる。

不要な枝の整理
1)芽が勢いよく伸び、枝が込み合ってきたハイブリッドティー系の株。このままでは風通 しも悪く、病害虫発生の原因にもなりやすい。
2)貧弱な枝や内側に向かって伸びている枝、込み合っている枝を切りとって整理する。やわらかい枝なら手で摘みとってもよい。
3)元気のよい枝だけを残して、すっきりとした株。よい花が咲くし管理もしやすい。

 

バラの苗木は、ノバラの台木に別 の品種の芽を接ぎ木したものです。ノバラは非常に生育が旺盛なので、その力を利用しているのです。このため、その台木から萌芽したノバラの芽が勢いよく伸びだしてくることがあります。この芽を台芽と呼びますが、そのまま放置しておくと接ぎ木された品種のほうが衰えて、ノバラの株になってしまいます。 台芽は見つけしだいかきとる必要があります。台木の葉は色が薄くて形も小さく、小葉が7〜9枚ついているので、三〜五枚葉のハイブリッドティーなどとはすぐに見分けることができます。ただし、オールドローズには七〜九枚葉で色や形もよく似ているものが多くあるので注意が必要です。

新芽が伸びだしてくると、害虫の活動も活発になります。薬剤散布ももちろん大切ですが、シャクトリムシやヨトウムシ、ハマキムシ、コガネムシなどは、見つけ次第ピ ンセットなどで取り除くことが必要です。アブラムシも、数が少なければ、とりあえず手でつぶしておきます。
チュウレンジハバチは、成虫が茎を割って産卵し、卵が孵化すると幼虫が葉に群がって食害し、葉を葉脈だけにしてしまいます。産卵中の成虫は動きが鈍いので、見つけ次第捕殺します。幼虫も、小さいうちは多くが1枚の葉に群がっているので、見つけたら葉ごと切り取って処分しましょう。

病害虫の対策は発生してからでは遅すぎます。前もって予防することが大切で、3月から11月までは、毎月中旬と下旬の2回、定期的に薬剤散布をしてバラを被害から守ってやりましょう。 また、毎日丹念に庭を見回って、もし病気や虫害の兆候が見られたら、ほかの元気な株に被害を及ぼさないため、ただちに薬剤散布をします。早めの防除が、結果 的には薬剤散布の回数を減らすことになるのです。 常に用意しておきたい薬剤として、害虫用にはオルトラン水和剤、病気の予防にはダコニール、治療薬としてミラネシンやサプロールなどがあります。これからは出番が多くなるので、いまからそろえておきましょう。 なお、新芽は薬害を受けやすいので、3月と9月の薬剤はやや薄めにして散布します。 また、花に薬剤がかかると花が汚れてしまうので、開花中は薬剤の予防散布を一時中断します。ただし、病害虫の発生が見られたときは、開花中でも薬剤を散布して蔓延を防ぐ必要があります。
定期的な薬剤散布に使用する散布液の作り方
病気予防  ダコニール 1ml
(3月と9月は1.5リットル)
害虫駆除
オルトラン水和剤
または
マラソン乳剤
1g
 
1ml
ハダニ駆除
オサダン水和剤
または
ダニトロン
または
ニッソランV
1ml
 
1ml
 
1ml
*1リットルの散布液で5〜10本のバラの消毒ができる。

苗の入手と植えつけ
新苗が出回るのは4月から6月上旬ですが、早めに購入して植えつけたほうが結果はよいようです。 ほしい品種を確実に入手するには専門のナーセリーを利用するのがよいでしょう。通 信販売をしているところもあるので、カタログをとり寄せ、早めに注文しておきます。 新苗は、前年の7〜9月に芽接ぎされたものか、12〜1月に切り接ぎされたものです。大苗にくらべ、生まれてからまだ日が浅く、とり扱いには十分な注意が必要です。 ビニールポットに入った新苗は、台木とのつぎ目がしっかりしていて、太くずんぐりしたものを選びましょう。苗がまだ小さい場合は、ビニールポットの中で根が十分張っていない証拠。少し待ってつぼみが見え始めたころ植えつけましょう。ポットの下穴から白い根が見えてきたら大丈夫。ポットをはずしたとき、土がくずれて細根を傷める心配がありません。 つぎ目に巻いてあるビニールテープは、しばらくそのままにしておきますが、2〜3カ月後には必ずとりはずします。 2株以上の苗を植えつける場合は、株が大きく育ったときのことを考えて、苗と苗との間は80cmくらいとっておきます。つるバラや大きくなるオールドローズを植えるときは、もっと広く株間をとる必要があるでしょう。

春のつぼみはすべて摘みとる
植えつけを終えた新苗は、小さなつぼみをつけていることもありますが、芽の先を五枚葉の上のところまで切り詰めておきます。生長に伴って次々とつぼみをつけますが、すべて摘みとって春には花を咲かせず、木を育てることに専念し、秋の開花を待つほうが得策です。もし、どうしてもすぐに花を見たいときは、開花する前、早めに切って、木の負担をなるべく軽くしてやるように心がけます。
水やり
晴天続きならば3日に一度、1株につきバケツ1杯の水を与えます。
肥料
芽が動き始めたら、週に一度、ハイポネックスの2000倍液などの液肥を1株に2〜3リットル与えます。


植えつけの手順
1)植え床を用意する。直径、深さともに40cmくらいの穴を掘る。
2)穴に堆肥(乾燥牛ふん、腐葉土、バークなど)を小さめのバケツ1杯と骨粉300g、油かす200g、硫酸カリ20gを入れる。
3)掘り上げた土の半量を穴に戻して、肥料とよく混ぜる。
4)掘り上げた土をスコップ3杯くらい穴に入れ、中心がやや高くなるよう、軽く押さえる。
5)苗をポットから、根をくずさないようにていねいに抜きとり、穴の中心に置く。苗のつぎ目が地表と同じ高さになるように調節すること。
6)掘り上げてあった残りの土を戻し、手で軽く押さえ、水をバケツ1杯以上たっぷりと与える。水が引いたとき土が沈み込んでいれば、もう一度土をかけてやる。
 
7)苗が風で揺れるとつぎ目がはがれてしまうことがあるので、最後に必ず支柱を立てる。品種名のラベルをつけて作業は終了。つぼみは摘みとっておく。